プレスリリース:2008年
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4月24日
文学部人文学科人文総合科学インスティテュート 「京都学プログラム」、「言語コミュニケーション」の新設について
立命館大学文学部では、下記の通り、2009年4月より人文学科人文総合科学インスティテュート「総合プログラム」を再編し、「京都学プログラム」、「言語コミュニケーションプログラム」を新設いたします。
このたびのプログラム再編は、文学部においてこれまで進めてきた人文学の学際化・総合化を目指した学部改革の上に、文部科学省のグローバルCOEプログラムや大学・大学院における教員養成推進プログラム(教員養成GP)・現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)における教育実践の成果に基づき実施するものです。この再編を通じて、新たな京都学研究を構築し日本文化を世界へ発信するとともに、ことばとコミュニケーションに関する学際的研究を進め、社会に貢献しうる人材の育成を目指します。
記
1.プログラム新設の経緯・立命館大学文学部の教学展開
(1)現代社会の要請に応える教学改革
文学部は、教学の学際化・国際化・総合化を目指し、1996年度に既存のディシプリンをこえた新たな教学展開として、学際的な教学プログラムである「人文総合科学インスティテュート」を発足させました。2001年度には、現代的課題に人文学的にアプローチする教育人間学専攻を設置し、2002年度には人文総合科学インスティテュート内に、国際インスティテュートを学部の教学単位として位置づける「国際プログラム」と、新たな学びのスタイルをなす「総合プログラム」を設置し、当初からのインスティテュートを学際プログラムとして位置づけ直しました。さらに、2004年度には哲学、文学、史学、地理学の4学科と人文総合科学インスティテュートを統合して人文学科を設置し、2006年度には心理学科を統合して10専攻・3プログラムを擁する人文学科1学科体制を確立しました。このように、文学部では既存学問領域の深化と新たな人文学分野の開発・教学改革を続けるかたちで、入学から卒業まで責任を持って教育する専攻やプログラムを刷新してきました。
(2)先進的な研究を教育実践に反映する副専攻制度
それと並行して、2年次と3年次で専攻横断的な学びを進める「副専攻制度」も充実させてきました。キャリア形成に役立つ先進的スキルを学ぶ副専攻として2005年度からイノベーション副専攻を開設し、英語アドヴァンスト、学校教育臨床研修、人文系デジタルグラフィック、日本語教育、ツーリズムなどのコースを提供してきました。また、2007年度からは国際的な視野と体験を拡げるためのエリアスタディ副専攻を開設し、京都歴史回廊、アジア太平洋、現代中国、韓国、東南アジア、北米、イタリアなどのコースを提供しています。このうち「学校教育臨床研修コース」は、文部科学省によって教員養成GPに採択された「学校教育臨床研修プログラムによる教員養成」プロジェクト(2005年度~2007年度)を継承し発展させるものです。一方、学術フロンティア「文化遺産と芸術作品を自然災害から防御するための学理の構築」(2005年度~2009年度)やグローバルCOEプログラム「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点」(2007年度~2011年度)の採択に見られるように「京都」をテーマとしたさまざまな研究プロジェクトの蓄積が文学部にはありました。それらと連携しつつ学部教育を実践する現代GP採択プログラム「人文学的知の地域還元で変わる歴史都市京都」(2006年度~2008年度)に基づいた副専攻が「京都歴史回廊コース」です。
(3)副専攻制度の実績を生かした新プログラム
文学部ではこのように研究面における成果を学生に対する教育として還元してきました。このたび、「京都歴史回廊コース」の取り組みをさらに強化し、新たな4年間の教学組織として「京都学プログラム」を人文総合科学インスティテュートの一部門として設置することになりました。
また、イノベーション副専攻で多くの学生のニーズがある「日本語教育コース」を核の一つとし、教員養成において大きな成果を挙げてきた「学校教育臨床研修コース」の一部を取り込んで、言葉の実践的使用や言語教育に関わる革新的な教育課程として「言語コミュニケーションプログラム」を構想し、同じく人文総合科学インスティテュートの一部門として設置することになりました。
新設する両プログラムは、既存の専門・専攻ではカバーしきれない学際的かつ実践的な教育を追究するものであり、人文総合科学インスティテュートの新しい部門として、意欲あふれる優秀な若者を世の中に送り出していきたいと願っています。

2.京都学プログラムについて
(1)理念
平安遷都以来、日本文化の重要な発信地であり続けた京都は、日本の他の地域とは異なる歴史的価値をもっています。今日においてもなお、多くの人を引き付ける「京都らしさ」の由来やその背景を、人文学的な手法で正しく検証、解明することは、京都の文化的特色を将来的にも保証し、更には日本文化を根底から理解することに他なりません。京都の文化的価値の本質的な理解と発見を通じて、京都という空間で、つまり、京都「に」学ぶことは、狭義の地域研究にとどまらず、日本文化の根源的な追究と発見につながるのです。
本プログラムは、プログラム名称にも示すように「京都」を中心とした歴史学的・文学的・地理学的アプローチを中心として、①京都における伝統の形成・創出、②京都の虚像と実像の発見、③時空間を超えて存続する「価値」、発見・創出される「価値」、連関する「価値」の解明、④新たな伝統の創出力の理解を目指します。更にその普遍性を発見、認識していくことで、「京都学」は単に京都に関するテーマを学ぶことにとどまらず、他の地域における援用も可能であることを提唱し、日本各地、そして世界に、日本文化とその応用力を発信することを目指します。
(2)特徴
本プログラムの特徴は次の4点です。
①人文学を通した京都の文化的価値の総合的な理解
日本文化が創出されてきたトポスとしての京都に大学が所在する利点をいかし、とりわけ日本文学・日本史学・考古学・地理学などの研究・教育の成果を結集します。そして、人文学を通した多角的視点によって、京都の全体像や文化的価値を包括的に検証します。さらに京都にかかわる学修を契機として、狭い意味での地域学にとどまらない、新たな京都学の構築と日本文化の総合的理解に努めます。
②京都の本質的な理解 ―フィールドワークなどの実体験を通して―
「京都で学ぶ、京都『に』学ぶ」をキャッチフレーズとする本プログラムにおいては、講義・演習といった授業形態にこだわらず、地の利を活かした数多くの臨地型講義やフィールドワークを通して、京都という歴史的空間を実地に体験・学習することを重視します。特にフィールドワークにおいては、京都の歴史的文化遺産や伝統文化の源流に触れるだけでなく、それらが現在の生活にどのように活かされているのか、その現在性の探求も目指します。
③「地域の知」と地域貢献
京都の歴史的文化的特色は、特色ある各地域が独自の文化的役割(いわば「地域の知」)を担い、蓄積してきたことに由来します。「京都『に』学ぶ」ことを提唱する所以です。具体的には、本学が取り組んできた現代GP「人文学的知の地域還元で変わる歴史都市京都」(2006年度~2008年度)の教育プログラムである「京都歴史回廊プログラム」の実践や経験を踏まえ、京都歴史回廊協議会などの諸組織や地域社会との連携・協同的取り組みを一層進めることにより、学修に根ざした実践的な応用力を身につけます。さらに、大学と地域が連携した新しいスタイルの模索や、それを支える人材の育成を目指します。
④日本文化を世界へ発信する
現存する歴史的文化遺産や伝統文化、その歴史的意味の探求の上にたち、人文学における新たな手法である「デジタル人文学」を活用し、それらの調査や解釈をさらに進めることにより、新たな京都学を構築します。そして、京都学における研究・教育の成果を、日本はもとより全世界に向けて発信します。
(3)概要
①入学定員 60名(予定)
②設置時期 2009年4月
③設置形態 人文総合科学インスティテュート内の一プログラム
(4)人材育成の目標
京都の「文化的価値」の本質的な理解と発見を通して京都「に」学ぶことは、単なる地域研究にとどまらず、日本文化の根源的な理解と発見につながります。また、京都の各所に眠る未発掘資料を発見し、更なる「地域の知」の蓄積・拡充に寄与することはこれまでにない「京都の歴史」像や「京都文化論」の構築につながります。一方、大学と地域による新しい地域連携スタイルの模索やそれを支える人材育成は、単に京都を学ぶことにとどまらず、学習によって得た知識等を他の地域において応用することを可能にします。
以上をふまえ、京都学プログラムでは、次のような人材の育成を目指しています。
①まちづくりの現場や景観問題の解決など、地域のプロデュースを通じて地域に直接還元することができる人材(民間企業や公務員など)
②地域の実態を踏まえながら、観光立国日本が目指すべき新たな道を模索できる、その担い手となりうる人材(運輸業・旅行業・宿泊業など)
③「総合的な学習の時間」等の教育分野での応用(教員)や文化的施策立案等の分野(学芸員)で活躍できる人材
(5)卒業生の予想される進路
民間企業(観光・旅行)、マスコミ、学芸員、公務員、地域活性化・地域連携に関わる営利・非営利団体スタッフ、教員(中学校社会科・高等学校地歴科・高等学校公民科・中学校国語科・高等学校国語科)、大学院への進学

3.言語コミュニケーションプログラムについて
(1)理念
ことばとコミュニケーションは人が社会に参加し、文化的実践を行うかなめとなるものです。人はことばを話すことで成長し、たがいのきずなを築き、社会を作ります。社会はことばにより共同体のきずなを深め、文化を伝えます。人はことばを通して思考し、世界を理解し、思いと感動を伝え、それを芸術に高めます。
ことばはなによりも人間が生活のなかで実践し、文化を生み出すものです。話しことば、書きことばによる実践を豊かにし、思想の表現と伝達の力を高めることは人間の可能性を大きく飛躍させます。また、国際化が日常生活の一部となった現代社会において、日本語教育、外国語教育の重要性はさらに高まり、それとともに第二言語教育を実践する高度な力が求められています。ことばを学び、教えることについての深い理解にもとづく教育実践はわが国の国際化に大きく寄与するものです。
本プログラムはことばとコミュニケーションを実践的に学び、研究するプログラムです。ことばとコミュニケーションの教授と研究を通し、人とことばにかかわる人文学の新境地を切り開き、社会に貢献することを本プログラムは目指しています。
(2)特徴
本プログラムの特徴はことばとコミュニケーションを実践的に学ぶところにあります。
①話しことばによるコミュニケーションの力
正確に、わかりやすく情報を伝えるアナウンス、作品を情感豊かに伝える朗読などの音声表現を学び、司会やレポーター、また、社会のあらゆる場面で必要なコミュニケーションの力を養います。
②文章創作の実践
わかりやすく、切れ味鋭い評論や解説文、心躍らせる物語文、詩情豊かに情景を描き出す紀行文など、読者に訴える力をもつ文章の創作を実践的に学びます。
③「外国語としての日本語」を教える能力
日本語を教えるための日本語教育学を基礎から学び、国内、海外における実地研修で日本語教員として必要な実践的な力を身につけます。また、中学校、高等学校の国語科教員を目指す人は日本語を外国語として学ぶことで、ことばについての新しい視点をもつことができます。
④中学校・高等学校英語教員としての実践力
英語教育学を深く学び、異文化コミュニケーションの力を身につけ、英語教員として必要な実践的な授業力を養います。また、日本語を外国語として学ぶことで、英語教育に新しい視点をもつことができます。
⑤ことばとコミュニケーションの研究
コミュニケーションの力を支える、ことばについての深い理解を養うため、新しい言語学の方法を学び、ことばを職業とする人々や言語教師が日々遭遇する疑問を解決する力を身につけます。
(3)概要
①入学定員 60名(予定)
②設置時期 2009年4月
③設置形態 人文総合科学インスティテュート内の一プログラム
(4)人材育成の目標
言語コミュニケーションプログラムはことばとコミュニケーションについて深く理解し、ことばによる実践の力を身につけ、人間の可能性を切り拓き、市民社会をさらに発展させる力をもった学生を育成することを目的としています。このため、言語コミュニケーションプログラムでは、次のような人材の育成を目指しています。
①アナウンサーやレポーターなど音声表現によるコミュニケーションの専門家、また、社会のあらゆる場面で求められる音声表現によるコミュニケーションの力をもった人材
②新聞、雑誌などでの文章の執筆に携わる専門家、また、社会のあらゆる場面で求められる文章表現によるコミュニケーションの力をもった人材
③音声、文章による豊かなコミュニケーションの力をもち、日本語教育学の深い理解と実践的な授業力をもつ「外国語としての日本語」教員
④日本語、英語教育学、異文化コミュニケーションの深い理解と実践的な授業力をもつ中学校・高等学校英語教員
(5)卒業生の予想される進路
放送、出版・編集、ジャーナリズム、新聞、広告 / 外国語としての日本語教員、中学校、高等学校の英語科教員・国語科教員、教育関連機関 / 民間企業(営業、広報、渉外部門など)、NPO・NGO、大学院進学(言語教育、言語研究)など
以上
【参考】
文学部 学科・専攻・プログラム一覧
◆2008年度 文学部 人文学科(2006年度より人文学科1学科に再編・統合)
・10専攻(哲学、教育人間学、日本文学、中国文学、英米文学、日本史学、東洋史学、西洋史学、地理学、心理学)
・人文総合科学インスティテュート(総合プログラム、学際プログラム、国際プログラム)
◆2009年度 文学部 人文学科
・10専攻(2008年度と同様)
・人文総合科学インスティテュート
(京都学プログラム【新設】、言語コミュニケーションプログラム【新設】、学際プログラム、国際プログラム)
※総合プログラムを再編して京都学プログラムと言語コミュニケーションプログラムを新設





