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2010年11月05日掲載
第12回京都教育懇話会「超就職氷河期検証~就活は小学生から~」開催
10月19日(火)、朱雀キャンパスにおいて、第12回「京都教育懇話会」を開催した。今回は、「超就職氷河期検証~就活は小学生から~」をテーマに、位髙光司氏(京都経営者協会会長・日新電機株式会社特別顧問)、山本達夫氏(京都市行財政局人材活性化推進室長)、淺野昭人氏(立命館大学キャリアセンター次長)を迎えて、産学公それぞれの立場から、就職活動の現状についての講演を行った。
また、今回の懇話会は5月15日(土)に開催した「第三回京都21世紀教育創造フォーラム」を機に立ちあがった学生部会のメンバーたちが、準備から当日の進行に至るまで運営に当たった。
第1部では、まず淺野氏が大学新卒者の動向を説明した。近年問題になっている、就職活動の早期化・長期化について触れ、「就職活動が本格化する前に単位を取りきろうとする動きが顕著で、大学の学びを締めくくる前に、就職活動をせざるを得ない状況になってしまっている。学生たちが、新卒というプラチナカードを失いたくないと思っているのが一つの原因としてある」と述べた。
次に、山本氏が「地域主権の流れに伴い、国と地域の関係が複雑になる。国・地域が求める公務員のありかたも変化するため、より責任感があり、地域を愛する人々が必要になってくる」と、求められる人物像について語った。
最後に、位髙氏は就職氷河期の問題を「1.社会・経済情勢からくる問題、2.学生側に帰すべき問題、3.学校側に帰すべき問題、4.産業界・企業側に帰すべき問題、5.その他の問題」と5つに分類をするとともに、根底にある本質的な問題として「教育」を挙げた。位髙氏は「社会貢献を通し、『働くとは何か』について、もっと考えさせなければならない。子供のうちから夢を持たせるような教育が求められている」と教育改革の必要性を訴えた。
第2部では、講演を行った3名のパネリストに加え、若林聡氏(株式会社堀場製作所グローバル人事部長)をコーディネーターとして迎えて、討論会を行った。
討論会では、学生の就職活動に対して取り組む姿勢が議論の中心となった。年々、海外への留学者数が減少していることに対して、淺野氏からは「グローバルな視点を持つ社会人が求められているのにも関わらず、留学意識の低い学生が多い。日本人と外国人が一緒になって学べられる場を早急に提供しなければならない」と意見が出され、山本氏からは、京都市に携わる立場から「海外に向けて京都の魅力を発信でき、国際協力に対する意識の高い人材が、海外の人々と共生していくには必要だ」と語った。
討論会終了後、学生からは多くの質問が寄せられた。「大学卒業後の三年間を新卒扱いにすることに対してどう考えているのか」という質問に対して、位髙氏は「非常に難しい問題。緊急避難的には仕方がないかもしれないが基本的には賛成ではない」と答え、淺野氏は「就職を安易に考えてしまう危険性のほうが高い。それよりも働く意欲を持っていない学生に対するシステムを構築するほうが先なのではないか」と意見を述べた。
また、参加者が19のグループに分かれてグループディスカッションを展開し、自分たちの意見を発表しあった。学生と社会人の垣根を越えて様々な意見が飛び出し、参加した社会人からは「学生と社会人がこうして討論できる場はあまりない。貴重な経験になった」と語った。
最後に、司会を務めた学生部会の山下貴弘さん(追手門学院大学2回生)から閉会の挨拶があり、「今回の懇話会で学んだことはこれからの就職活動に留まらず、長い人生における教訓となりそうです」と締めくくり、会は盛況のうちに幕を閉じた。
