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2009 |
2010年04月20日掲載
第5回国際コンファレンス「多文化主義と社会的正義」開催
第5回国際コンファレンス「多文化主義と社会的正義」が,立命館大学大学院先端総合学術研究科主催、立命館大学グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点の共催で、3月22日(日)と23日(月)に衣笠キャンパスの創思館1階カンファレンス・ルームで開催された。
本年度は「国境なき正義:多文化主義とグローバル正義」をテーマに、理論研究と調査研究の両方にまたがる8つの論文が報告された。
<第5回コンファレンスの背景>
近年、グローバル正義への関心が高まっている。正義の問題は、個々の国民国家の内側で論ずることはできなく世界レベルで論じられるべきだという関心である。正義のパースペクティブがこのようにシフトした理由のひとつとして、全体として眺めるかぎり世界は資源や所得が極端に偏っているきわめて不公正な場だという認識が強まってきたことにある。
そればかりではなく、その主要な理由は、人びとが自分たちはまさに国民国家を隔てる諸制度に参加しており、世界のさまざまな地域に住む人々に甚大な影響を及ぼしているという事実に気づき始めてきたことにある。
本コンファレンスの目標は、多文化主義と社会的正義の問題をグローバル正義の観点から探究することにあった。例えば、移住労働者は移住先の社会サービスへのアクセスを制限されると同時に、自分たちの文化をもちつづけることを妨げられている。マイノリティグループは複数の領土に分散されているがために自分たちの問題を国際レベルで論ずるしかない状態にある。
社会的正義と多文化主義をめぐる議論にグローバル正義が介入することによって、これらに関する伝統的な論じ方、例えば、各国家によって保護された普遍的な個人の権利と特定のマイノリティのもつ特殊な要求との対立といった論じ方それ自体が転換される可能性がある。グローバル正義は国家概念とは独立に普遍的権利のあり方を構想することと、より特殊な利益や関心にもとづいて普遍的権利を守るといった視点を提供する可能性をもつからである。
今回は、10人ほどの院生から報告(共同報告を含む)があった。また、その後も多様な報告が行われ、全体討議において今後の研究課題と方向性が確認された。
