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PICK UP : 2013 年

2013
 

2013年09月13日掲載

現職国連職員から激動の世界を学ぶ~夏期集中講義「国際公務の現場と実践」を開講(国際インスティテュート)~

 8月26日(月)から30日(金)の5日間、衣笠キャンパスにおいて、激動する世界を国際連合職員の視点から実践的に学ぶ、夏期集中講座「国際公務の現場と実践」が開講した。2013年度も、立命館大学受講生に加えて、立命館アジア太平洋大学(APU)からの積極的な受講があり、多様な学部受講生で構成されたプロジェクトチームのケーススタディや現場対応シミュレーション実践などを通じた充実した学びがみられた。

 国際インスティテュートの夏期集中講義である本講義は2001年度から開講されているが、2008年度からは国連本部(ニューヨーク)の政務局上級政務官である梅津伸氏を招聘している。2013年度は、金山勉産業社会学部教授と連携して講義が進められた。立命館アジア太平洋大学からの受講生18名を含めた合計46名の学生が受講登録した。

 本講義は、「国際連合」がこれまで担ってきた役割、和平実現や紛争国・地域での安全保障の取り組みに対する成果と限界などを、実務・実践的な立場から考察することを目的としている。講義では、国連の機構や役割にかかわる概論を終えた後、主に東南アジアと太平洋地域(カンボジア、東チモールやフィジー)における、実際の国連の政治活動を事例として取り上げた。

 梅津氏は、講義で取り上げた対象国および地域の事情やこれに影響を及ぼす近隣諸国の政治・社会情勢を丁寧に掘り下げながら、どのように国連が関わっているのか、そして関わるべきかを紐解いて学生にその中から見えてくる課題や論点は何かを問いかけるなど、インターアクティブな手法で講義を進めていた。

 アラブの春もつかの間、民主化の流れとは逆行する不安定な政治情勢へ逆戻りし、深刻度を増す中東と北アフリカの情勢についても取り上げられた。特に日々推移し混迷の度を深めるシリア情勢に関して、その刻々と変化する状況を丁寧に追いながら、その背景と国連での動きが丁寧に説明されていた。さらに新たな概念として昨今脚光を浴びている「保護する責任」も紹介され、リビアにおいてその概念がどのように具現化されたのか、国連の視点から説明が加えられた。受講生からは、「最新の国際情勢を国連との関連でどのようにみたらよいのか、自主的に考える機会となり、日々のニュースなどを通じてメディアが伝え切れていないところまで学べた」との声が聞かれた。

 講義形式に加え、実際に国連が過去に関わった事例、そして世界で起きている現在進行中の事例をテーマに、「自分が国連職員であるとしたらどのように対処をするか」という設定で、シミュレーションやグループワークが行われた。学生たちは熱心にメンバーと議論し、また他グループの発表も興味深く聞いており有意義な様子であった。

 これに加えて、フィジー駐在中の現役国連職員であるアルバート・マリナー氏とTV電話(スカイプ)を通じて、受講生が英語で直接対話し、フィジーで国連が果たしている役割や国連職員としての日常業務についてリアリティのある説明や意見を聞く時間も設けられた。マリナー氏との対話を通じ、受講生たちは、現場の雰囲気をより身近に感じ、大いに刺激を受けていた。

 本講義では、国連の現場の一線で働くことを、学生たちに体感してもらうことも目的の一つに挙げており、受講生の中には、「将来、国連の職員になることが夢」だという学生もいた。梅津氏は、「学生自身が知識を習得し、自らの頭で難しい状況を打開することを考え自分なりの意見をもつことを求めており、講義内容もかなり高いハードルを設定している。しかし、毎年、学生たちは熱心に取り組んでおり、自分自身も講義を通じて受講生たちから元気をもらった」と語っていた。

 受講生の意見では、「実際に起こった出来事をテーマに解決に向けたシミュレーションをする機会が与えられ、各国の立場からの多角的な視点を意識することができ有意義であった」、「現職の職員の講義を聞くことでこれまで遠い存在だった国連を近く感じることができた」、「国連の表面だけでなく、中身の運営方法と指針・理念などを学んだことで世界平和を維持する意識が高まった」など、立命館大学・APU受講生から、積極的に評価する声があがっていた。

 キャリア教育の一貫として「国際公務員」を職業として掘り下げて考えて欲しい、との思いもこめられた本夏期集中講義では、国連職員になるための予備知識や心構えに至るまで、クラス内外できめ細かな指導が行われ、受講生たちは、グローバル化する社会の中で自分達が将来どのように世界と向き合うべきかを考えたり、動機付けたりする大きな刺激を与える講義ともなったようである。本講座は2014年度も夏期集中で開講される予定である。

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