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2012年06月04日掲載
第5回 京都21世紀教育創造フォーラム 「日本の未来と人づくり」を開催
5月26日(土)、京都市立西京高等学校にて、第5回京都21世紀教育創造フォーラム「日本の未来と人づくり~グローバル時代のサイエンス教育像~」を開催した。本フォーラムは、2007年以降4回にわたり、次代を担う子どもたちに、社会は今何が出来るかを、京都から提言するというテーマで行われている。5回目となる今回は、世界屈指といわれた日本の科学技術力が危機的状況にある今、グローバル時代到来を視野に入れ、次世代に知的好奇心を目覚めさせることについて討議する場となった。
第一部の基調講演では、「はやぶさ」プロジェクトのマネージャーである川口淳一郎・独立行政法人宇宙航空研究機構シニアフェロー(宇宙科学研究所 宇宙飛翔工学研究系教授)が講演を行った。川口氏は、「はやぶさ」が小惑星イトカワから帰還した意味、はやぶさが持ち帰った微細なサンプルからの調査に関するエピソード、50年から100年後の月や惑星に滞在型の研究施設や資源開発の輸送ルートができる未来などについて講演し、参加した子どもたちは、川口教授から語られる宇宙の話に目を輝かせていた。川口教授は、「“3日坊主”と、お子さんをたしなめる方もいらっしゃるが、常に新しい1ページを探していると考えればいいこと」と、新しいことに関心を持ち続けることの重要性を語った。
パネル討議では、陰山英男・立命館大学教授(立命館小学校副校長)を進行役とし、リーダーを育てるための教育の在り方を中心に議論が進められた。川口教授は「ドキュメントでは人材育成はできない。プロジェクトの現場などで直接の共同作業でこそ人材育成ができる」と、現場での人材育成の重要性を語った。
植松努・植松電機株式会社専務取締役は、子どもに話す言葉の重要性について、「やったことがない人が適当な言葉をいって子どもたちの芽を摘み取ってしまうことのない社会にする必要がある。諦めるという意味で『我慢』という言葉を子どもたちに使わないで欲しい。『だったらこうしてみたら』といってみて。」と語った。荒瀬克己・京都市教育委員会教育企画監(前京都市立堀川高等学校長)は、自身の堀川高等学校での経験を踏まえ、「子どもたちが自分の中で作られている蓋をはずす、ずらしていく、そうした教育を学校、教員は行っていく必要があると強く思う。学ぶことが楽しいと思える学習体験を用意しなければならない。」とこれからの教育のあり方について意見を述べた。
大野照文・京都大学総合博物館館長は「学校の先生を信頼してあげてほしい。日本の素晴らしい教育制度を活用すれば、面白い日本を作ることができる」と保護者へメッセージを送った。
また、小川理子・パナソニック社会文化グループグループマネージャーは、先進国ほど科学に対する興味が低くなる先進国病について「先進国では、今の生活に不自由がなく満足してしまって、未来をみようとしていない。企業についても同じことがいえるのではないか。」と解説した。
陰山教授は、「今日聞いたお話しを一つの励みとして、新しい方向、新しい挑戦に向かっていって欲しい」と、会場の参加者へメッセージを送り、パネル討議を締めくくった。
当日は、シンポジウムのプレ企画として、植松氏による「モデルロケット教室」や京都の企業、高校などによるサイエンスフェスティバルも開催され、多くの子どもたちやその父母で会場が参加し、盛り上がりを見せた。
