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PICK UP : 2012 年

2012
 

2012年03月23日掲載

地理情報と記憶をもとに終戦直後の京都を読み解く「占領期京都を考えるワークショップ」を開催

 3月16日(金)、文部科学省グローバルCOEプログラム「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点」(立命館大学)、立命館大学歴史都市防災研究センターの研究成果として、flowing KARASUMA(旧北國銀行)を会場に、「占領期京都を考えるワークショップ」が開催された。
 
 2010年春以降、京都府立総合資料館に所蔵されている占領期京都に関わる行政文書に注目が集まるようになり、同年12月には、1927年に作成され、その後1951年頃まで加筆された地図「京都市明細図」が公開された。歴史地理情報研究班(代表者:矢野桂司・文学部教授)では、占領期の京都の歴史を地図から読み解き、記録することを目的に、GIS(地理情報システム)を用いて「京都市明細図」を電子化し、現在の京都の地図と照合させたWebマップを作成し公開した。
 
 本ワークショップは、Webマップの公開を記念し、占領期という時期が現在の京都とどのように関わるのかについて、「京都市明細図」を始め占領期に関わる文書資料や当時の社会的状況、さらには近代建築といった様々な側面から再検討することを目的に開催した。会場には、実際の占領期京都を経験された方々を始め、研究者や地域の方など約40名が参加した。
ワークショップでは最初に、司会の矢野教授が、「空間的な広がりを持つ地理学と、時間軸を持つ歴史学を融合させて何かできないかと考え、この研究を始めた。占領期を体験された方々の記憶を、地図を通して蘇らせ、占領期京都研究の進展につながる議論の場としたい」と挨拶を述べた。次に、西川祐子・元京都文教大学教授が、ご自身の占領期の研究をもとに「我々にとって、占領は戦争よりもさらに抹梢したい記憶なのかもしれず、忘れられがちな時期である。しかしながら、占領期は戦後の日本の基盤ともなる時期とも言え、歴史を語る上で大切な研究テーマでもある。地理学との融合で更に占領期の史実が解明されることを期待している」と述べた。座談会では、占領期京都を経験された3名の方々が当時の京都の様子を語った。地図を基に、当時の警察と市民の関係や、進駐軍に接収された住宅に関する思い出、教育についてなど、様々な角度から話が展開された。最後に、京都府立総合資料館の福島幸宏氏より、「今年は進駐軍による占領から60年を迎える。戦後の資料は戦前に比べて整理が進んでいないため、まだまだ解明されていない部分もある。今回のように資料を公開することで、京都の歴史・地理研究の進展につながっていくことを期待している」と述べ、閉幕となった。

■公開した『京都市明細図』オーバーレイマップはこちら

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