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HEADLINE NEWS:2014年
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3次元空間の“点”(極小領域)にのみ可聴音を再現する音響技術を世界で初めて開発~ヘッドホンなど無しで各ユーザーの耳元にのみ聞こえる音をつくり出す~
情報理工学部 西浦敬信・教授の研究グループは、複数台の超音波スピーカーを用いて、3次元空間内の“点”(極小領域)にのみ可聴音を再現する音響技術を世界で初めて開発しました。
本研究開発は、文部科学省革新的イノベーション創出プログラム(COI-T)「運動を生活カルチャー化する健康イノベーション」および立命館大学R-GIRO「多世代交流型運動空間による健康増進研究拠点」の枠組みにて、音像による運動空間シェアリングのコア技術として開発を進めています。
一般的なスピーカーは音が空間に拡散するように設計されているのに対し、超音波スピーカーは人間には聞こえない超音波(キャリア波と側帯波により構成)を空気中に放射して、キャリア波と側帯波の相互作用により復調させることで特定の領域にのみ可聴音を再現することができます。一方、再現できる可聴音の領域はスピーカーから超音波を発する方向の直線状となるため、本来可聴音を届けたい極小領域(例えばユーザーの頭部や耳元)にのみ焦点を絞って“点”で音を再現することは困難でした。
本研究ではキャリア波と側帯波を別々の超音波スピーカーから分けて放射(=分離放射)することで、キャリア波と側帯波が3次元空間上で重なる“点”(極小領域)にのみ復調が生じ、可聴音を再現することに成功しました。この技術により同一空間内に複数の極小領域での可聴音(オーディオスポット)を同時に再現できるため、ヘッドホンなど無しで各ユーザーの耳元にのみ聞こえる“オーダーメイドな音”を空間内に実現することが可能となり、同一空間における様々な音のニーズ(スピーカーによる騒音問題等を含む)を解決することが期待されます。
本技術の応用可能性として、例えば家庭のリビングにおけるテレビ用スピーカー(テレビを見ている人にのみ音声を提示)や、美術館における絵画や彫刻の説明用スピーカー、広告業界におけるデジタルサイネージ用スピーカーなどでの活用が期待されます。またスポーツ分野においてサインの変わりに超音波スピーカーを用いて特定の選手に指示を出すことができたり、介護分野では聞かれたくない個人情報を特定の人にだけ(例えば介護者にだけ)伝えることもできたりと、これまでの日常生活が劇的に変わる要素も含んでいます。
なお、本研究成果は電子情報通信学会論文誌に学術論文として2014年4月に採択・掲載されています。
■本件に関する問い合わせ先
立命館大学リサーチオフィスBKC
TEL:077-561-2802
立命館大学広報課
TEL:075-813-8300

小さな領域だけで音が聞こえる音響技術(スピーカーシステム)を体験する様子
