このページのトップです。

ここからメインコンテンツです。

経済学部

経済学部 国際経済学科 谷垣 和則 教授

経済学への招待

谷垣 和則 教授

経済学部 国際経済学科
谷垣 和則

研究テーマ
国際貿易論と貿易政策

大学教育とは、人間教育はもちろん広い意味での職業教育でもあります。ただ最近はそれが狭い意味での実践教育や実学がもてはやされている傾向があります。大学は教育の場であると同時に研究の場であり、知の世界、つまり真実とは何かを追求するところです。社会が複雑化してくると、素人考えで普通に判断すると間違うことはよくあります。また人々は時々自分では気が付かずに、思い込みで判断したり行動したりします。だからこそ専門を勉強し、素人考えを排除できる能力を身に付ける価値があります。どんな場面においても、人よりもよく知り、深く理解している人、さらに真偽をかぎ分ける能力のある人ほど評価を得ます。つまりよく観ることができるものこそが人生においての真の勝利者となりえます。

経済学は、単なるノウハウや一時的にしか役に立たないような実践教育を行っていません。経済学は、多くの分野での仕事への理解、問題発見、問題解決に必要なスキルを提供します。これらは広範なビジネス分野はもちろん、行政あるいは法律の分野にも必要とされるものです。データを分析し解釈するときにも役に立ちます。さらに世界観を養い、人間行動への理解につながります。これらは、仕事の立場が上になるほど必要とされる能力ともいわれています。経済学は、社会に出て直面するさまざまな問題を深く理解し、広い観点から解決するスキルを身につけることになります。これらを適用力や応用力ということもあり、企業の人事部が重視する能力です。

経済学を学ぶことの有用性は、まず理論を学ぶことで地頭を鍛えることができ、論理的・抽象的思考能力を向上させることです。さらには社会への観察力・理解力・分析力も身に付きます。これらのことは物事への深い理解へとつながり、高度化・複雑化した社会ではいっそう必要とされるスキルを身に付けることができます。経済学の学習では理論などの抽象的なことがでてきます。それをもって現実的ではないあるいは役に立たないと思う人もいます。しかし抽象的であるからこそ、現実のさまざまな事柄に応用可能となり、役立つ人材となります。経済学は「つぶしがきく」と昔から言われているのはこの理由からです。実際就職先も他学部比べてかなり広範囲だともいわれています。

しかし学問は就職のためだけではありません。「真の知の世界」に触れると、人間は、厳しくなると同時にやさしくなるとも言われています。これはより広い観点から物事見ることができるからです。このことは最終的には人生を豊かにします。経済学はこの「真の知の世界」を提供します。みなさんもこの知の世界に触れ、人間や社会の真偽を見極めることができる「懐の深い」人間になって欲しいと思います。

経済学は具体的に何をどのような立場から分析するのでしょうか。以下は、最近話題になっていることから2つを例に取り上げます。

1つ目の例は、労働者への賃金です。これは労働経済学の分野で扱います。最近の契約・派遣などの短期雇用は、企業や社会あるいは労働者にとっていいのか悪いのか、賃金体系は年齢とともに上昇する年功賃金体系にするのか、それとも働きに応じた実力主義がいいのか、経済学はこれらの判断材料を与えます。実力主義あるいは実績主義が合理的でいいように思う人がいるかもしれませんが、必ずしもそうではないことが少し勉強するとわかってきます。年功賃金体系にもそれなりの合理性が存在します。企業にとっては、一見合理的に見える実力主義が、実は自分の首を絞めることになることもあります。

2つ目は少子化問題です。経済学の発想は、コスト対効果です。つまり同じ金をかけたときにより高い効果を上げる使い方を是とします。ある研究では、児童手当の拡充ではなく、出産子育てによる収入の減少を最小にする方法(職場への復帰のしやすやなど)が、出生率の回復には効果的であるといわれています。もしそうであれば、同じように1000億円支出するのであれば、児童手当による補助ではなく、出産年齢期女性の職場環境整備に、政府や地方自治体あるいは企業はお金を使うべきだということになります。

これら2つの例で共通していることは、まず、経済学は人間の行動原理を分析する学問であることです。給与によって労働者が、各種少子化対策で出産行動が、それぞれどう変わるか分析します。これらの行動原理をインセンティブ(動機)ということもあります。さらにはここに数字が入ってくることがあることです。2つの目の少子化ですと、ある政策によって、何%出生率が回復するかを推定できることになります。またこれらを考えるときには必ず理論あるいはモデルを前提とします。数字や理論が出てきたりするところが、社会科学の中でもっとも科学らしいあるいは理系に近いとも言われる所以です。さらに経済学の基本的な理論の多くは世界中どこの国でも共通で教えられ、世界レベルで標準化されています。このようなことから社会科学の分野では唯一ノーベル賞が設けられています。また経済学は社会全体の集計された動きを見る学問です。出生率はまさしく国全体を集計したものですし、雇用者全体の賃金もそうです。このように社会をはるかかなたの上空から俯瞰するのも経済学の特徴です。

経済学は個人、企業、政府の行動を分析し、社会の運行法則を探求します。また企業の戦略や政府の政策も考えます。経済学は伝統もあり、奥深く広範囲で、理論、統計、歴史、思想、政治も入ってきます。主な分野としては、ミクロ経済学、マクロ経済学、社会経済学、金融論、国際経済学、財政学、計量経済学、経済学史、経済史、ゲーム論、産業組織論、経済発展論、公共経済学、環境経済学、労働経済学、経済思想、法と経済学、地域経済学、都市経済学、農業経済学などがあります。これらの名称だけでも、非常に広範囲で豊潤なことがわかると思います。

ここからサブコンテンツです。

ここからフッターです。